アラ4オジサンの読書感想文「言の葉の庭」
今回は「君の名は」で話題の新海誠の「言の葉の庭」という小説です。正直なところ、新海誠の本業はアニメクリエイターだと思っていたので、小説にそれほど期待していなかったのですが・・・それは良い意味で裏切られ、最後まで楽しんで読むことができました。そして今、感嘆の思いで2回目を読み進めています。
小説は靴職人になりたい男子高校生とそれをとりまく家族や先生たちが登場する10代、20代の恋と葛藤の物語です。この小説の特徴は、章ごとに主人公(私)が代わるところです。男子高校生の目線で書かれている章もあれば、ヒロインや先生の目線で書かれている章もあり、登場人物の背景や関係性や思いが少しずつ明らかになっていく展開は非常によく練られた小説です。20年くらい前に辻仁成と江國香織の「冷静と情熱のあいだ」という小説を男性目線と女性目線からの恋愛小説だったのを思い出しましたが、「言の葉の庭」は章ごとに主人公が代わります。「君の名は」を見た方にはわかると思いますが、新海誠は他に無いような非常にキラキラと綺麗で景色を表現するアニメクリエイターだけあって、場面ごとの描写も非常に繊細で情景がジンジンと伝わってきます。それだけにヒロインが酔っ払ってラブホテルに連れ込まれる場面はオジサンの心臓に悪かったですw
読み進めていくうちに、すべての疑問が伏線としてつながり、エンディングを迎えます。読み終えてすぐに2回目を読みたくなる。そんな小説でした。
雷神の しまし響もし 降らずとも 我は留まらむ 妹し留めば