ハタチノカラダ

サラリーマンになって10年が経った頃、ストレスと睡眠不足で身体は痩せ細り、毛根が死滅して頭髪は前線から撤退し、持病の腰痛は爆発し、右手は腱鞘炎で箸も持てない惨状・・・。自分の身体はどうなってしまうのか?過去の運動自慢は虚しく響くだけ。このままではアカンと危機感を持ち、今ここにいる自分を鍛えようとジョギングを始めたのが2013年夏。2016年は京都マラソンでサブ4を達成し、珠洲トライアスロン(Bタイプ)を完走しました!そんなアラ4のオッサンが20歳の身体を目指して、面白おかしく頑張るブログです。

チャレンジ「喜撰山Climb」

珠洲トライアスロンの出場が決まって迎える最初の週末。意気込みや不安感からオーバーワークになりがちだけれど、天気予報と睨めっこしながら種目を変えてトレーニング。金曜日は夕方に大岩山から桃山御陵トレイルランニングを1時間ほどかけて10km。土曜日はスイム1600mを48分。そして日曜日は午前中に自転車屋さんと喜撰山へ。6月の土曜日は何かと用事があって「朝練」に参加できないと嘆いていたら、日曜日にお付き合いいただけることになった。行き先は初挑戦の喜撰山。ここの山頂には珍しいダムがあるので「うんちく」を少しだけ・・・。

喜撰山ダム(きせんやまダム)は、高さ91mのロックフィルダム(岩石や土砂を積み上げて建設する型式のダム)で、関西電力の揚水式水力発電所。「揚水式」という名前のとおり、わざわざ天ケ瀬ダムから水をくみ上げて、その水で水力発電をしている。なぜ、そのような一見ムダとも思えることをしているのかというと、原子力発電はいったん発電を始めると急には止められないので、どうしても夜間に電力が余ってしまう。この余った電力を使って夜間に喜撰山ダムに水をくみ上げておいて、昼間の電力ピーク時に水力発電を行うのである。言わば巨大な「蓄電池」のようなもの。くみ上げるのに使う電力が100だとすると、発電できる電力は70(30%のロス)らしいけれど、この発電方法が夜間の電力の無駄をカバーする最善の方法なのだとか。それじゃあ、原子力発電が止まっていた間は喜撰山ダムも止まっていたのかなとか、巨大な施設だから止まっていても維持管理費や人件費がかかるんだろうなとか、職業病的な発想を始めてしまう・・・。

小栗栖の自転車屋さんを出発して、いくつもの丘を越えてスタート地点を目指す。途中、斜度10%程度の上り坂もあって中々しんどい。峠に行く前に「こんなに脚を疲れさせて大丈夫?」と不安になるけれど仕方ない。三室戸寺の奥にある神女神社がスタート地点。参拝して息を整える。

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霊験あらたかというか、薄気味悪いというか、何か出てきそうな感じ。一人なら・・・嫌だ。でも、道中の無事をお祈りしておく。Stravaの喜撰山Climbの区間設定は、距離3.6km、平均斜度6.9%のコース。自転車屋さんと僕の実力差は「1kmあたり1分」なので3分半のハンデをいただく。しかも、自転車屋さんは睡眠不足で体調不良の様子。これはまたとないチャンス。前日の缶ビールを1本にセーブした甲斐があった!

ハタチ「勝ったらブログで言いふらしますよ!」

二日酔い「いやいや、負けませんよ!」

自転車屋さんは側溝で足回りのクーリングダウンをしていたけれど、僕はせっかくウォーミングアップで温まった脚を冷やすのが嫌で水には漬けず。

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道を少し引き返した橋の上から、いよいよスタート。僕の3分半後に自転車屋さんがスタートする。背中に強烈なプレッシャーを感じながら進む。スタート直後はしんどい上り坂が続く。サイクルコンピューターの距離は300mしか進んでいないのに既に息はゼーゼーと上がっている。その後は、緩斜面と急斜面が数百メートルごとに繰り返す感じ。緩斜面では数枚ギアを重くして踏むのだけれど、ここで頑張りすぎると次の急斜面で息が続かない。微妙な加減が難しい。しんどくて「早く3.6km進まないかな?」とサイクルコンピューターの距離計ばっかり見てしまうので、途中から表示を時刻に変えて見ないようにした。コース脇でバズーカ砲みたいな超望遠レンズで鷹か鷲の写真を狙っているオジサン達の横をヒーヒーともがき苦しむオッサンが必死で坂道を走っている姿が我ながら面白い。何度か後ろを振り返るけれど、自転車屋さんの姿はまだ見えない。視界が開けてダム湖が見えるとゴールまでもう少し。急坂のヘアピンを曲がり、最後の坂を上ってT字路(池の尾、二尾の標識)がゴール。ゴール地点でまだ自転車屋さんは来ていない。やった!!勝ったぞー!

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記録は16分28秒。後ろから追われているプレッシャーで随分と頑張れた。単独走行ならとてもこんな記録は出なかった。ほどなく自転車屋さんもゴール。記録は14分ジャスト。自転車屋さんの自己ベストが13分弱なので、ベストコンディションで走っていたら同着ぐらいだったはず。勝ったのは嬉しいけれど、やっぱり速さの次元が違うなぁと愕然。

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自転車屋さん「このあと、山か平地かどっちがいいですか?」

ハタチ「平地でお願いします!」

もう、パワーを使い果たしていて上り坂は「お腹いっぱい」だったので「楽」をしたくて「平地」と即答。二尾に下りて、宇治川ラインから帰ることになったのだが・・・

自転車屋さん「トレインを組みましょう。僕が3分頑張ります。次にハタチさんが1分。お互いスピードを落とさないように、ちぎれないように頑張って!」

トレインとはツールドフランスなんかでやっているように、同じチームで一番しんどい先頭を交代しながら走るチームプレイのこと。

ハタチ「むむむ・・・頑張ります!」

それって、どれくらいの強度なんだろうと不安になりながらも、とりあえず自転車屋さんの真後ろにつく。速度は30km/hくらいなのでドラフティングすると空気抵抗が減って、これくらいなら余裕。ところが先頭を交代すると様子は一転。向かい風が苦しくて速度を維持するにはかなりのパワーが必要。先頭がいかにしんどいかを再認識。1分間、なんとか速度が落ちないように踏ん張っていると、次の3分間は自転車屋さんの後ろで休ませてもらえる。でも、交代のたびに速度が上がって行って・・・最後は「ちぎれない」ようについていくので必死。ドラフティングしているのに全力走行。心肺的にも筋力的にもいっぱいいっぱい。気付いたら上半身は力入りまくっているし、ペダルは踏みまくっているし・・・。「楽」できるはずの「平地」の選択だったのに、もしかしたら「山」よりしんどいやん・・・。おかげさまで、この区間の自己ベストを大幅に更新しまくり。自分の実力じゃないけど、頑張った成果として嬉しい。二度と越えられないけどw

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お店に帰ったら、すぐにワンセコンドBCAAで補給。もはや、このパッケージを見るだけで「疲れが抜けてくる」くらい信者。 

自転車屋さんと「すね毛を剃るアルアル」でひとしきり盛り上がった後、お店に来られたお客さんをmomoyama-ClimbというStrava区間に案内して帰宅。この区間は八科峠といって、六地蔵の王将裏から墨染通の頂上まで。たった1kmの距離だけれど、後半の激坂は苦悶。

半年前の初チャレンジが4分35秒。走る度に自己ベストが出て、今回は4分06秒。今年中には4分を切ってトップ10が狙えそうな感じになってきた!だから速い人は来ないでねw

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ほんの少しだけ、上り坂が楽しくなってきたのかもしれない。