ほだ木の進水式はちびっこプールで
年齢とともに味覚や嗜好は変わる。
僕は若い頃、キノコ全般が大嫌いだったけれど、おっさんになるにつれてキノコが大好物になった。
酒の肴や鍋の具材に最高だということに気付いたからか。
あの苦さを「美味い。」と感じるには、それなりの年季がいると思う。
暫く前にホームセンターで「ホダキング」という椎茸の菌を植え付けた「ほだ木」を購入した。
冬季は椎茸の成長に適さないとのことなので、暖かくなるのを待っていた。
庭木の新芽もほころび始め、チューリップも芽を出したので、本格的に椎茸栽培を開始することにした。
栽培の手順は、いたって簡単で、
1 ほだ木を12〜24時間、水に浸ける。
2 日陰に置き、適度に水遣りをする。
注意点は、直射日光や高温を避けるくらい。
頭を悩ませたのが、1の水に浸ける工程。どうやって、直径20cm、長さ1mのほだ木を水に浸けようか?
風呂が手っ取り早いが、衛生的になんとなく嫌だ。
レンガやブロックを積んでブルーシートで簡易プールを作る案を思いついたが、少々めんどくさい。
鋸(のこぎり)で短く切って、ビニール袋に入る大きさにする案も、かなりめんどくさい。
そこで思い出したのが、物置の奥に眠っている「ちびっ子プール」。
レンガを重石にして簡単に進水式が終了。
明日、水揚げをして北側の日陰に寝かせる。
調べてみるとシイタケ栽培の天敵はナメクジだそうだ。
我が家の庭にもナメクジは大量に生息しており、毎年、自家菜園を食い散らかされる憎き宿敵だ。
可愛い椎茸の赤ちゃん「タケ子」を遊び人の「ナメ夫」の餌食にするわけにはいかない。
「タケ子」と僕の新居予定地に、花咲爺さんのごとく、水戸泉のごとく、ナメクジ退治の薬剤を「ぶぁっ」と撒いておいた。
15日前後で収穫できるようだ。丁度、4月上旬の花見の候。
桜満開の桃山城で、自家栽培の椎茸を酒の肴にキュッと一杯やるのが楽しみだ。
1,522円のほだ木から何百本の椎茸が収穫できるのか、上手くいって、僕も『雪国まいたけの大平社長』みたいに「キノコと話ができる」ようになったら、サラリーマンやめる。